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Shureの名機「SM7B」と、その後継的立ち位置ともいえる「SM7dB」。どちらも放送・音楽・配信の世界で愛用されるダイナミックマイクですが、実際に選ぶとなると「何が違うの?」「自分にはどちらが合うの?」と迷う方は多いはずです。
SM7Bは長年プロの現場で信頼されてきたモデルで、豊かな低音とナチュラルな中高域が特徴。ただし、感度が低いためプリアンプや高性能オーディオインターフェースが必要なこともあります。
一方、SM7dBは内蔵アクティブプリアンプを搭載し、より扱いやすく進化。低ノイズで小音量環境や距離のある収音にも強く、接続方法もシンプルになっています。本記事では、両モデルのスペック・音質・使いやすさ・接続方法を徹底比較し、初心者から上級者まで納得できる選び方を紹介します。
Shure SM7BとSM7dBの基本スペック比較
SM7BとSM7dBは、見た目はほぼ同じですが、内部構造と機能にいくつか大きな違いがあります。
まず、SM7Bは1970年代から続くロングセラーモデルで、放送局やスタジオ収録、プロ配信など幅広く採用されてきました。低域に厚みがあり、ナチュラルで滑らかな音質が特徴です。ただし、感度が低く、十分な音量を得るためにはゲインブースターや高性能プリアンプが必要になる場合があります。
一方、SM7dBは最新の改良版として登場し、最大の特徴は内蔵アクティブプリアンプの搭載です。これにより、接続先のオーディオインターフェースやミキサーから十分なゲインを確保でき、外部のゲインブースターが不要になりました。さらに、パッシブモードに切り替えてSM7Bと同様の使い方も可能なため、用途に応じた柔軟な運用ができます。
スペック面では、周波数特性や指向性はほぼ共通ですが、感度はSM7dBのほうが高く、ノイズ耐性も向上。これにより、小音量環境や距離のある収音にも強くなっています。価格はSM7dBのほうがやや高めですが、外部機材を揃える必要がないため、トータルコストでは有利になるケースもあります。
両モデルの発売背景と用途の違い
SM7Bは、1973年に登場したSM7シリーズの後継として発売され、放送局やレコーディングスタジオで長年にわたり愛用されてきたモデルです。
特にラジオパーソナリティやナレーター、プロミュージシャンからの信頼が厚く、その温かみのある低域と耳に優しい中高域の特性が評価されています。配信機材が限られていた時代でも、その音質は「スタジオクオリティ」として定評がありました。
一方、SM7dBは2023年に登場した新モデルで、現代の配信・動画制作環境に合わせた仕様が特徴です。
最大の改良点は、マイク内部にアクティブプリアンプを搭載したこと。これにより、従来SM7Bでは必須だったゲインブースター(Cloudlifterなど)や高性能プリアンプが不要になり、オーディオインターフェースへ直接接続しても十分な音量が得られるようになりました。
用途面では、SM7Bは音質重視でプロ機材が揃った環境に適し、SM7dBは配信や宅録など比較的シンプルな機材構成で使いやすい設計です。
また、SM7dBはパッシブモードに切り替えればSM7B同等の動作も可能なため、上位環境へ移行する予定がある人にも柔軟に対応できます。
SM7BとSM7dBのスペック表(感度・周波数特性・重量など)
SM7BとSM7dBは外観こそ似ていますが、内部仕様と機能に違いがあります。
以下の表で、主要なスペックを比較してみましょう。
項目 | SM7B | SM7dB |
---|---|---|
形式 | ダイナミックマイク | ダイナミックマイク(内蔵アクティブプリアンプ搭載) |
指向性 | 単一指向性(カーディオイド) | 単一指向性(カーディオイド) |
周波数特性 | 50Hz〜20kHz | 50Hz〜20kHz |
感度 | -59 dBV/Pa | -48 dBV/Pa(アクティブモード時) |
インピーダンス | 150Ω | 150Ω |
最大音圧レベル | 非公開 | 非公開(同等) |
重量 | 約765g | 約785g |
接続方法 | XLR | XLR |
その他機能 | ベースロールオフ・プレゼンスブーストスイッチ | ベースロールオフ・プレゼンスブーストスイッチ+アクティブ/パッシブ切替 |
価格帯(目安) | 約55,000円〜 | 約70,000円〜 |
この比較からもわかるように、SM7dBはアクティブプリアンプを内蔵することで感度が向上しており、外部機材なしでも十分な音量が得られる仕様です。
一方、SM7Bはシンプル構造で余計な回路がない分、長期的な安定性やアナログ的な音質の好みで選ばれる傾向があります。
価格差はありますが、外部プリアンプを別途購入するコストを考慮すると、総合的な投資額ではほぼ同等になる場合も多いです。
価格差とコストパフォーマンス
SM7BとSM7dBの価格差は、おおよそ15,000円前後。
一見するとSM7Bの方が割安ですが、実際には使う環境や必要な周辺機材によって総コストが変わってきます。
SM7Bは感度が低いため、一般的なオーディオインターフェースでは十分な音量が得られないケースが多く、その場合は**ゲインブースター(約15,000〜25,000円)**や高性能プリアンプが必要になります。つまり、SM7B本体の価格に加え、周辺機材への追加投資が必要です。
一方、SM7dBは内蔵アクティブプリアンプによって高い感度を確保できるため、オーディオインターフェースへ直接接続しても十分な音量を得られます。追加機材が不要な分、初期投資を抑えやすく、セッティングもシンプルです。
長期的に見れば、プロのスタジオや高度な機材を使う環境ではSM7Bのシンプル構造が有利な場合もありますが、自宅配信や宅録でコスパを重視するなら、追加投資不要のSM7dBのほうが経済的と言えるでしょう。
SM7BとSM7dBの音質と感度の違い
SM7BとSM7dBは、どちらも同じマイクカプセルを搭載しているため、基本的な音質傾向は似ています。
どちらも中低域に厚みがあり、耳に優しい中高域が特徴で、声の存在感をしっかりと引き出す音作りです。特にポッドキャストや配信、ナレーションでは「プロの放送クオリティ」に近い仕上がりになります。
しかし、感度には明確な違いがあります。
SM7Bは感度が低く(-59dBV/Pa)、環境によっては十分な音量を得るためにゲインをかなり上げる必要があります。そのため、低品質なプリアンプやオーディオインターフェースを使うと、ホワイトノイズが目立つことがあります。
一方、SM7dBは内蔵アクティブプリアンプによって感度が大幅に向上(-48dBV/Pa)しており、小さな声や距離のある音源でも明瞭に収音できます。さらに、ノイズフロアが低く抑えられているため、宅録や配信環境でも扱いやすく、音量不足やノイズ混入のトラブルを減らせます。
音質面では、SM7dBのアクティブモードはやや明るくクリアな印象を受ける場合がありますが、パッシブモードに切り替えればSM7Bとほぼ同じ音のキャラクターを再現可能です。
SM7Bの感度と音の特徴
SM7Bは、放送局やプロのレコーディング現場で長年愛用されてきたダイナミックマイクです。
その最大の魅力は、温かみのある低域と滑らかで耳に優しい中高域。声に深みと存在感を与えつつ、耳障りな高音成分を抑えてくれるため、長時間のリスニングでも疲れにくい音質です。
一方で、SM7Bの感度は-59 dBV/Paと低め。これは環境ノイズを拾いにくい利点でもありますが、同時に十分な音量を得るには多くのゲインが必要になるという側面もあります。一般的なオーディオインターフェースでは、ゲインを最大近くまで上げても音量不足やホワイトノイズが発生する場合があり、この点が初心者にはややハードルになることがあります。
また、SM7Bは近接効果(マイクに近づくほど低音が強調される現象)が豊かで、声に厚みを持たせたいボーカルやナレーションに適しています。適正距離はおおよそ5〜10cm前後で、マイク正面からしっかりと声を当てることで最大のポテンシャルを引き出せます。
そのため、SM7Bは「環境が整ったプロ寄りのセッティングで最高の音を出すマイク」と言えるでしょう。
SM7dBの感度と音の特徴
SM7dBは、SM7Bの音質的な魅力をそのままに、扱いやすさを大幅に向上させたモデルです。
最大の特徴は、内蔵アクティブプリアンプによる高感度化。感度は-48 dBV/Paと、SM7Bに比べて約11dB向上しており、一般的なオーディオインターフェースやミキサーに直接接続しても十分な音量が得られます。これにより、外部ゲインブースターや高価なプリアンプを用意する必要がなく、初期投資と配線の手間を削減できます。
音質は基本的にSM7Bと同じく、中低域に厚みを持たせつつ耳に優しい高域特性。アクティブモードでは、わずかにクリア感が増し、音の輪郭がはっきりする傾向があります。このため、小さな声やナレーションでも明瞭度が高く、配信や宅録の音声が聞き取りやすくなります。
また、SM7dBにはパッシブモードも搭載されており、スイッチひとつでSM7B相当の感度と音質に切り替え可能。将来的にプロ向け機材を導入する場合でも、環境に応じた運用ができます。
適正距離は5〜15cm程度が目安で、SM7Bよりも多少距離を取っても音量・明瞭度が保たれるため、動きのある収録や複数人トークでも安心して使えます。
距離別の集音特性(SM7Bの適正距離/SM7dBは何cmからがベストか)
マイクの性能を最大限に活かすには、声をどの距離から入れるかが重要です。
SM7BとSM7dBは同じカプセルを搭載しているため基本的な指向性は共通ですが、感度の違いにより「使いやすい距離」が変わります。
SM7Bの適正距離
SM7Bは感度が低いため、声量をしっかり確保するには5〜10cm程度まで近づくのが理想です。近接効果により低音が豊かになり、放送的な深みのある音になります。ただし、息がマイクに直接当たるとポップノイズが出やすいので、ポップガードやウインドスクリーンを併用するのが必須です。
SM7dBの適正距離
SM7dBはアクティブプリアンプの効果で感度が高く、10〜15cm程度離れても明瞭な音が収録できます。距離を取ることで口元の動きや息遣いが録音に入りにくくなり、より自然な音に仕上がります。複数人での会話収録や、カメラとの距離を保ちながらの配信にも向いています。
まとめ
近くで力強い声を狙うならSM7B、多少距離を取っても安定した音量を確保したいならSM7dBが有利です。収録環境や目的によって最適な距離を意識すると、どちらのモデルでも本来の性能を引き出せます。
プリアンプ・オーディオインターフェースとの相性
SM7BとSM7dBは、同じShureのSM7シリーズでありながら、必要とする周辺機材の条件が大きく異なります。
これは主に感度の差と内蔵プリアンプの有無によるものです。
SM7Bの場合
SM7Bは感度が低く、一般的なオーディオインターフェース(特にエントリーモデル)ではゲイン不足になりがちです。ゲインを大きく上げると、ホワイトノイズやヒスノイズが目立つこともあります。そのため、CloudlifterやFetHeadなどのゲインブースター、もしくは高性能マイクプリアンプを導入するのが一般的です。これらを経由することで、ノイズを抑えつつ十分な音量を確保できます。
SM7dBの場合
SM7dBは内蔵アクティブプリアンプのおかげで、ほとんどのオーディオインターフェースやミキサーに直接接続しても十分なゲインが得られます。追加のブースターが不要なため、接続がシンプルになり、セッティング時間やケーブル本数も減らせます。さらにパッシブモードに切り替えれば、SM7Bと同じ条件での運用も可能です。
相性のまとめ
- プロ仕様の機材が揃っている環境 → SM7Bでも問題なし
- コンパクトな配信セットや宅録環境 → SM7dBのほうが機材構成を簡略化できる
SM7Bはプリアンプが必要?
結論から言えば、SM7Bを快適に使うためには高品質なプリアンプまたはゲインブースターがほぼ必須です。
理由は、感度が-59dBV/Paと非常に低く、一般的なオーディオインターフェースでは十分な音量を得るためにゲインを最大近くまで上げる必要があるからです。
ゲインを限界まで上げると、ホワイトノイズやヒスノイズが目立ちやすくなります。特に静かな宅録環境や、低声量での収録ではこのノイズが気になる場面が多くなります。そこで役立つのがCloudlifter CL-1やFetHeadといったインライン型ゲインブースターです。これらをXLRケーブルの途中に挟むことで、ノイズを増やさずに20〜25dBほどゲインを稼げます。
また、オーディオインターフェース自体に高ゲインかつ低ノイズなマイクプリが搭載されている場合(例:RME Babyface Pro FSやUniversal Audio Apolloシリーズ)、ブースターなしでも実用レベルの音量が得られるケースもあります。ただし、こうした機材は価格が高く、初期投資が大きくなる点は覚えておくべきです。
つまり、SM7Bは機材を選ぶマイクとも言えます。手持ちの環境がエントリークラスの場合は、プリアンプやブースターの導入を前提に検討するのがおすすめです。
SM7dBはプリアンプ不要の理由
SM7dBが登場した最大のポイントは、内蔵アクティブプリアンプの搭載です。
これにより、従来SM7Bで必要だったゲインブースターや高性能プリアンプを用意しなくても、ほとんどのオーディオインターフェースやミキサーで十分な音量を得られるようになりました。
内蔵プリアンプは、+18dBまたは+28dBのゲインブーストが可能で、感度は-48dBV/Paまで向上。これによって、ゲイン不足でノイズが増える問題を大幅に軽減できます。さらに、このアクティブ回路は低ノイズ設計のため、宅録や配信など静かな環境でもクリアな音質を確保できます。
もう一つの利点は、パッシブモードへの切り替えが可能な点です。
スイッチひとつで内蔵プリアンプをオフにすれば、SM7Bと同等の感度・動作モードになり、将来的に外部プリアンプやゲインブースターを使う環境にも柔軟に対応できます。
つまりSM7dBは、「すぐに使える」「追加投資が不要」「将来の拡張性もある」という三拍子が揃ったモデル。特に宅録やライブ配信のようなシンプルなセットアップでは、機材構成をスリム化しつつ高音質を実現できます。
おすすめオーディオインターフェース3選(SM7B/SM7dB別)
SM7BとSM7dBは必要とするゲイン量が異なるため、相性の良いオーディオインターフェースも変わってきます。ここでは、それぞれにおすすめのモデルを3つずつ紹介します。
SM7Bにおすすめ(高ゲイン・低ノイズタイプ)
- RME Babyface Pro FS
最大+76dBのゲインと超低ノイズ性能を誇るプロ仕様。ブースター不要でSM7Bを駆動可能。 - Universal Audio Apollo Twin X
高品質なUnisonプリアンプ搭載。ボーカル録音での音質向上に定評あり。 - Focusrite Clarett+ 2Pre
クラスを超えるゲイン幅と透明感ある音質。コスパも高く宅録〜セミプロに人気。
SM7dBにおすすめ(扱いやすさ重視)
- Focusrite Scarlett 2i2(第4世代)
コスパ抜群で宅録・配信の定番。内蔵プリアンプで十分駆動可能。 - Steinberg UR22C
安定したドライバと堅牢な筐体。音質もクリアで長時間収録に向く。 - MOTU M2
高解像度メーターと低レイテンシ性能。配信やライブでの使いやすさも魅力。
SM7Bは高品質なプリアンプを持つインターフェースが必須ですが、SM7dBは一般的なミドルクラスでも十分な性能を引き出せます。購入時は「必要ゲイン量」と「接続端子の互換性」を必ず確認しましょう。
接続方法と設定のポイント
SM7BとSM7dBはどちらもXLR端子を採用しており、接続自体はシンプルです。
しかし、感度や必要なゲインが異なるため、正しい接続方法と設定を理解しておくことで、ノイズを抑えつつベストな音質を得られます。
SM7Bの接続方法
- マイク → XLRケーブル → ゲインブースター(Cloudlifterなど)
- ゲインブースター → XLRケーブル → オーディオインターフェース
- インターフェース側で必要に応じて+50〜+60dB程度までゲインを確保
この流れを守ることで、ノイズを最小限に抑えつつ十分な音量が得られます。ファンタム電源(+48V)はブースター動作用に必要ですが、SM7B本体には影響しません。
SM7dBの接続方法
- マイク → XLRケーブル → オーディオインターフェース
- 内蔵プリアンプのブースト設定(+18dBまたは+28dB)を選択
- 必要に応じてパッシブモードに切り替え可能
SM7dBはファンタム電源を使用してアクティブモードを動作させますが、インターフェースから直接供給できるため、追加機材は不要です。
設定のポイント
- ゲインは必要以上に上げすぎない(ノイズ増加の原因になる)
- 声質や用途に合わせてベースロールオフやプレゼンスブーストを適宜ON/OFF
- ポップガードやウインドスクリーンを活用し、ポップノイズを防止
SM7Bの接続方法と注意点
SM7Bは感度が低いため、接続時には十分なゲイン確保とノイズ対策が重要です。
以下は代表的な接続手順とポイントです。
接続手順
- マイク本体にウインドスクリーンを装着
ポップノイズやブレス音を軽減し、近接効果を適度に抑えます。 - XLRケーブルでゲインブースターへ接続
Cloudlifter CL-1やFetHeadなど、20〜25dBのクリーンゲインを追加できる機器を使用します。 - ゲインブースターからオーディオインターフェースへ接続
ブースターの動作には+48Vファンタム電源が必要です。 - インターフェース側で最終ゲイン調整
おおよそ+50〜+60dB程度を確保し、クリッピングしない範囲で設定します。
注意点
- ゲインブースターなしで使用すると、ゲイン不足による音量の小ささやノイズ増加が発生しやすい
- 高品質なXLRケーブルを使用することでノイズ耐性を強化できる
- 低音が過剰になる場合は、マイク背面のベースロールオフスイッチを活用すると自然な音質になる
SM7Bは、環境が整えば非常に豊かでプロフェッショナルな音質を提供してくれますが、接続方法を誤ると本来の性能を発揮できません。適切な機材と設定を揃えることが、最高のパフォーマンスを引き出す鍵です。
SM7dBの接続方法とおすすめ設定
SM7dBは内蔵アクティブプリアンプを搭載しているため、接続は非常にシンプルです。
外部のゲインブースターを使わなくても十分な音量を確保でき、初めてXLRマイクを使う方にも扱いやすい設計になっています。
接続手順(アクティブモード)
- マイクをXLRケーブルでオーディオインターフェースへ直結
高品質なXLRケーブルを使うことで、ノイズ耐性を向上できます。 - ファンタム電源(+48V)をONにする
内蔵プリアンプの動作に必要な電源です。 - ブースト量を選択
+18dBまたは+28dBから選びます。声が大きい場合は+18dB、静かな声や距離を取りたい場合は+28dBが目安です。 - インターフェース側で微調整
必要以上にゲインを上げすぎず、ピークがクリップしないように設定します。
おすすめ設定ポイント
- 室内で近距離収録 → +18dBブースト、プレゼンスブーストONで明瞭度アップ
- 複数人トークや距離を取る場合 → +28dBブーストで音量確保
- 低音が強すぎると感じる場合 → ベースロールオフをONにして自然な音質に調整
パッシブモードの活用
ファンタム電源をオフにするとパッシブモードとなり、SM7Bと同等の感度で動作します。将来的に外部プリアンプを導入する場合や、音質をSM7B寄りにしたい場合に便利です。
SM7dBは「すぐに使える」だけでなく、環境や用途に合わせた細かい調整も可能な万能モデルと言えます。
音が小さい時のトラブルシューティング(SM7dB/SM7B共通)
SM7B・SM7dBのどちらを使っていても、「思ったより音が小さい」と感じることがあります。
その原因と解決策を整理しておきましょう。
1. ゲイン不足
- SM7B:外部プリアンプやゲインブースターを追加し、+50〜+60dBのゲインを確保する
- SM7dB:アクティブモードで+28dBに設定し、ファンタム電源が正しく供給されているか確認する
2. マイクとの距離が遠すぎる
- SM7Bは5〜10cm、SM7dBは10〜15cm程度が目安
- 近接効果を活かしたい場合は距離を短くし、低音を豊かにする
3. 接続設定の不備
- オーディオインターフェースの入力が「ライン入力」になっていないか確認(必ずマイク入力に設定)
- ケーブル不良や端子の緩みも音量低下の原因になるため、交換や差し直しを試す
4. ソフトウェア側の入力レベル設定
- DAWや配信ソフトでの入力ゲインが低く設定されていないか確認
- WindowsやMacのシステム設定でも入力レベルをチェック
5. ノイズを抑えつつ音量を上げる工夫
- ゲインを上げすぎず、マイクに近づいて話す
- ポップガードでポップノイズを防ぎ、必要以上に距離を取らない
これらを順にチェックすれば、大半の音量不足トラブルは解消できます。特にSM7Bはゲイン不足が原因のケースが多いので、適切な機材選びが重要です。
用途別おすすめモデル選び
SM7BとSM7dBは同じシリーズでも、得意とするシーンや環境が異なります。
ここでは、利用目的ごとにどちらのモデルが適しているかを整理します。
1. ポッドキャスト・ライブ配信
- おすすめ:SM7dB
機材構成をシンプルにでき、内蔵プリアンプで十分な音量が得られるため、配信ソフトやインターフェースの設定が簡単。長時間配信でも安定した音質を確保しやすい。
2. ボーカル録音・音楽制作
- おすすめ:SM7B(+高性能プリアンプ)
近接効果を活かした厚みのある音が特徴。ゲインブースターを使えば宅録でもスタジオ級のサウンドに仕上げられる。プロの現場ではこちらが定番。
3. ナレーション・朗読
- おすすめ:どちらも可(環境による)
静かな部屋で距離を取りたい場合はSM7dB、声の存在感や低域の豊かさを重視する場合はSM7Bが有利。
4. 屋外・現場収録
- おすすめ:SM7dB
高感度かつ低ノイズのため、外部機材を増やさず軽量なセットアップが可能。移動撮影やイベント収録にも向く。
5. 複数人トーク収録
- おすすめ:SM7dB
距離を取っても音量が保てるため、机を囲んだ座談会やリモート出演者とのミックス収録がしやすい。
用途に合わせて選ぶことで、両モデルの強みを最大限に活かせます。特に宅録・配信初心者は、機材追加なしで使えるSM7dBが導入しやすいでしょう。
ポッドキャスト・配信ならどちらが有利?
ポッドキャストやライブ配信の現場では、扱いやすさと安定した音質が重要です。
その観点から見ると、多くの場合SM7dBのほうが有利と言えます。
SM7dBは内蔵アクティブプリアンプにより、一般的なオーディオインターフェースでも十分なゲインを確保できます。外部ゲインブースターを用意する必要がなく、機材構成がシンプルになり、セッティング時間やトラブルのリスクも減少します。また、配信環境ではマイクから少し距離を取ることも多いため、感度の高いSM7dBは安定した音量を維持しやすいのが利点です。
一方、SM7Bは感度が低いため、ゲイン不足になると音がこもったり、ノイズが増える可能性があります。プロ仕様のプリアンプやゲインブースターを使えば解消できますが、初心者や機材投資を抑えたい配信者にとってはややハードルが高めです。
総じて、ポッドキャストや配信をこれから始める方、またはシンプルなセットアップで運用したい方にはSM7dBが最適。すでに高品質なプリアンプ環境を持っている配信者や、低域の豊かさにこだわる場合はSM7Bも選択肢になります。
音楽収録・ボーカル録音での違い
音楽制作やボーカル録音では、求められるのは声や楽器の表現力をどれだけ正確かつ魅力的に捉えられるかです。
この点でSM7BとSM7dBには、それぞれ異なる強みがあります。
SM7Bの強み
SM7Bは感度が低い分、環境ノイズを拾いにくく、近接効果による低域の豊かさが際立ちます。ボーカルに厚みを加えたい場合や、力強い歌声を録る際に非常に適しています。また、ギターアンプやドラムのスネア録音にも相性が良く、プロスタジオでは定番マイクとして長年愛用されています。
SM7dBの強み
SM7dBは感度が高く、繊細なニュアンスまで拾いやすいのが特徴です。小さな声や繊細なアコースティック楽器の録音に強く、録音距離を少し取っても音量や明瞭度が保たれます。宅録や簡易スタジオ環境では、内蔵プリアンプの恩恵でクリアな音が得られやすいのも利点です。
選び方の目安
- 迫力のあるボーカルや楽器の音圧感を重視 → SM7B
- 繊細な表現や弱音の再現性を重視 → SM7dB
どちらも高い音質を誇りますが、録音スタイルとジャンルに合わせて選ぶことで、より理想のサウンドに近づけます。
屋外・現場収録での選び方
屋外や現場での収録では、スタジオ録音とは異なり、持ち運びやすさ・セッティングの速さ・ノイズ耐性が重要になります。
SM7Bの特徴と注意点
SM7Bは環境ノイズを拾いにくい特性を持っていますが、感度が低いため屋外では十分な音量を得るためにゲインブースターや高性能プリアンプが必要です。これらを現場に持ち込むとなると機材量や配線が増え、設営に時間がかかる点がデメリットになります。
SM7dBの特徴と利点
SM7dBは内蔵アクティブプリアンプのおかげで、オーディオインターフェースやポータブルレコーダーに直結しても高音量・低ノイズで録音可能。外部ブースターが不要なため、機材が少なく軽量化でき、現場での素早いセットアップが可能です。また感度が高いため、多少マイクとの距離があっても声をしっかり拾ってくれるため、インタビューやドキュメンタリー撮影にも向いています。
総合判断
- 軽量・シンプルな機材構成で素早く収録 → SM7dB
- 既に高品質なモバイルプリアンプ環境がある → SM7B
屋外・現場収録では、電源や機材数の制約があることが多いため、SM7dBの利便性が際立ちます。
偽物・並行輸入品に注意
SM7BやSM7dBは世界的に人気が高く、中古市場やネット通販では偽物や粗悪な並行輸入品が出回ることがあります。
外見がそっくりでも、内部パーツや音質は大きく異なり、正規品のような性能は得られません。
偽物に多い特徴
- 本体の印字やロゴがにじんでいる、フォントが正規品と異なる
- 重量が軽く、質感が安っぽい
- 付属のウインドスクリーンが極端に薄い
- 接続端子の作りが粗く、ケーブルの抜き差しがスムーズでない
- 正規価格より大幅に安い(新品で半額以下など)
並行輸入品の注意点
並行輸入品は必ずしも偽物ではありませんが、国内正規代理店の保証が受けられない場合があります。特にマイクは輸送中の衝撃や湿気の影響を受けやすいため、保証やアフターサービスが重要です。
安全に購入するためのポイント
- 正規代理店(ヒビノ、サウンドハウスなど)経由で購入する
- メーカー保証書とシリアルナンバーがあるか確認する
- フリマアプリやオークションでは出品者の評価・販売履歴を必ずチェックする
せっかくの高性能マイクも、偽物や劣化品では本来の音を引き出せません。信頼できる販売ルートを選ぶことが、長く安心して使うための第一歩です。
SM7B/SM7dBの本物と偽物の見分け方
人気モデルであるSM7BやSM7dBは、外観が似た偽物が多く出回っています。
ここでは、購入前にチェックしておきたい本物と偽物の見分けポイントをまとめます。
1. ロゴと印字の精度
- 本物は「SHURE」ロゴのエッジがシャープで、印字ににじみがありません。
- 偽物はフォントがわずかに太かったり、文字間隔が不均一なことがあります。
2. 重量と質感
- 本物は金属部品がしっかりしており、SM7Bで約765g・SM7dBで約785gあります。
- 偽物は樹脂部品が多く、明らかに軽い場合があります。
3. 接続端子の精度
- 本物のXLR端子は滑らかで、ケーブルの抜き差しがスムーズ。
- 偽物は端子の加工が粗く、差し込みが固かったりガタつくことがあります。
4. 付属品のクオリティ
- 本物のウインドスクリーンは厚みがあり、手触りがしっかりしています。
- 偽物はスポンジが薄く、形状が均一でない場合があります。
5. シリアルナンバーと保証書
- 本物には固有のシリアルナンバーが刻印され、正規代理店の保証書が付属します。
- 偽物や並行輸入品では番号がない、または印字が不鮮明なケースがあります。
チェックのコツ
購入時は、重量測定やロゴ確認だけでなく、販売元が正規代理店かどうかも必ず確認しましょう。公式サイトの正規販売店リストを参照すれば、安全な購入ルートが把握できます。
正規代理店から購入するメリット
SM7BやSM7dBのようなプロ用マイクは、価格が高いため正規代理店から購入することが安心への近道です。
単に「本物が手に入る」だけでなく、長く使うためのサポート体制や保証面でも大きなメリットがあります。
1. 確実に正規品が入手できる
正規代理店はメーカーから直接仕入れており、偽物や品質不良品が混ざるリスクがありません。シリアルナンバーも公式に登録されるため、製品の真贋が明確です。
2. メーカー保証が受けられる
Shure製品は国内正規代理店経由の購入で、通常2年間のメーカー保証が付属します。初期不良や使用中の故障時に無償修理や交換対応が可能です。
3. アフターサービスが充実
マイク内部のメンテナンスやパーツ交換、長期使用後の点検など、正規ルートならではのサポートを受けられます。
4. 最新モデルや純正アクセサリーの入手が容易
正規代理店では常に最新ロットを扱っており、専用ウインドスクリーンや交換パーツなど純正アクセサリーも確実に入手できます。
5. 安心して転売・譲渡できる
正規品である証明があるため、中古で手放す際にも信頼性が高く、買い手が付きやすくなります。
高価なマイクは、購入後も長く使い続けることを前提に選ぶべきです。価格だけで判断せず、保証とサポート込みでの安心感を重視しましょう。
実際に使ってみたレビュー・事例
ここでは、実際にSM7BとSM7dBを使用したユーザーの声や現場での事例を紹介します。
スペック表や理論だけでは分からない「リアルな使い心地」を把握することで、自分に合ったモデル選びの参考になります。
事例1:配信者(SM7dB使用)
長時間のゲーム配信を行う配信者は、以前SM7Bを使用していたが、外部ゲインブースターが必要でデスク周りが煩雑になっていたとのこと。SM7dBに変更してからは、オーディオインターフェース直結で十分な音量が得られ、機材構成がシンプルになった。さらに距離を少し取っても声がしっかり届くため、姿勢の自由度も向上。
事例2:宅録ミュージシャン(SM7B使用)
アコースティックギターとボーカルを同時録音するため、環境ノイズをできるだけ減らしたいという理由でSM7Bを採用。高品質プリアンプと組み合わせたことで、近接効果を活かした温かみのある歌声と、輪郭のはっきりしたギターサウンドを実現。感度が低いため、空調音や外の雑音もほとんど収録されず、ミックス作業が楽になった。
事例3:現場収録チーム(SM7dB使用)
イベント会場でのインタビュー収録にSM7dBを使用。ブースターなしでポータブルレコーダーに直結でき、短時間でセッティング完了。環境音が多い中でも十分な音量を確保でき、編集時のノイズ除去作業が軽減された。
これらの事例からも、用途や環境によって最適なモデルは異なりますが、「機材構成のシンプルさ」や「環境ノイズ耐性」のどちらを優先するかが選択の分かれ目になります。
配信者によるSM7B使用レビュー
ある人気配信者は、長年SM7Bを愛用しています。
理由は「声の厚みと落ち着き感が他のマイクとは違う」と感じているからです。特に低域の豊かさと中域の自然さが、長時間配信でも耳に優しいと評価しています。
この配信者は、高品質なオーディオインターフェース(RME Babyface Pro FS)とCloudlifter CL-1を組み合わせ、十分なゲインを確保。結果として、音量不足やノイズの悩みはほぼ解消されました。視聴者からも「ラジオみたいに聴きやすい」「声が落ち着いて聞こえる」と高評価を得ています。
ただし、配信環境を整えるための初期投資はそれなりに必要で、ブースターやケーブル、マイクアームなど含めると10万円を超えたとのこと。それでも、配信者本人は「音質がブランドになるなら安い投資」と感じており、今もSM7Bをメインマイクとして使用中です。
この事例は、機材投資に余裕があり、音質の質感や低域の存在感を重視する配信者にとって、SM7Bが非常に有力な選択肢であることを示しています。
SM7dBの実録使用感と音質比較
宅録系YouTuberが、SM7BからSM7dBに乗り換えて録音した実例があります。
このユーザーは、以前はSM7B+Cloudlifter+Focusrite Scarlett 2i2という構成を使用していましたが、デスク上の機材数や配線の多さが気になっていたとのこと。SM7dBに変更したことで、マイクから直接オーディオインターフェースに接続できるようになり、配線がスッキリ。
音質の違い
録音比較では、両者とも同じ距離(約10cm)で話した場合、SM7dBのほうがわずかに音像が近く感じられ、明瞭度もやや高い傾向がありました。アクティブプリアンプの恩恵で、弱い声や小さなニュアンスも拾いやすく、宅録ナレーションや配信においては編集時のレベル上げ作業が減ったとのこと。
使い勝手
+18dBと+28dBのブースト設定を使い分けられる点が便利で、1人語りの配信では+18dB、複数人での対話やマイクから距離を取る場面では+28dBを使用しているそうです。また、内蔵プリアンプは低ノイズ設計のため、従来よりもホワイトノイズが減少。結果として、ノイズ除去処理の必要がほとんどなくなったといいます。
この事例からも、SM7dBは特に宅録や配信環境において、機材構成の簡略化と音質向上の両立ができるモデルであることがわかります。
現場での音量・ノイズの違い体験談
映像制作チームが、イベント会場でSM7BとSM7dBを併用してインタビュー収録を行った事例です。
会場は人の出入りが多く、BGMや話し声など環境ノイズが常にある状態でした。
SM7Bの使用感
SM7Bは感度が低いため、環境音を比較的拾いにくいメリットがありましたが、その分ゲインを大きく上げる必要があり、結果としてわずかなホワイトノイズが収録に混じることに。外部ゲインブースターを経由しても、現場の慌ただしい中ではケーブルや接続の確認に時間がかかる場面もあったそうです。
SM7dBの使用感
SM7dBは内蔵プリアンプによって十分な音量を確保でき、オーディオインターフェースやポータブルレコーダーに直結可能。セットアップが短時間で完了し、インタビュー対象者との距離をやや取っても明瞭な音声が得られました。環境音はある程度拾いますが、後処理でのノイズ除去が容易だったとのこと。
比較結果
- スピード重視・現場対応力 → SM7dBが優勢
- 環境ノイズ低減重視・じっくりセッティング可能 → SM7Bが有利
この体験談からも、収録環境と時間的余裕によって、選ぶべきモデルは変わることがわかります。
まとめとおすすめ購入先
SM7BとSM7dBは、同じShureの人気ダイナミックマイクですが、用途や環境によって選び方が変わります。
SM7Bがおすすめな人
- 高品質なプリアンプやゲインブースターを既に所有している
- ボーカルやナレーションで低域の厚みや近接効果を活かしたい
- ノイズを極力抑えた録音環境が整っている
SM7dBがおすすめな人
- 機材構成をシンプルにしたい、外部ゲインブースターを使いたくない
- 配信や宅録など、短時間でセットアップを完了させたい
- 小さな声や距離のある収録でも安定した音量を確保したい
おすすめ購入先
- 国内正規代理店(例:ヒビノ株式会社、サウンドハウス正規取扱品)
- 大手楽器店(島村楽器、イシバシ楽器など)
- 信頼できるオーディオ機材専門通販(Rock oN Company、Rock Innなど)
正規代理店経由での購入は、メーカー保証・アフターサービス・本物保証の3点で安心感があります。特に高額なマイクは長期間使うものなので、価格だけでなくサポート体制も含めて検討するのがおすすめです。
記事要点まとめ
- SM7BとSM7dBの最大の違いは、SM7dBに内蔵されたアクティブプリアンプの有無。
- SM7Bは感度が低く、外部ゲインブースターや高性能プリアンプがほぼ必須。
- SM7dBは+18dB/+28dBのブーストが可能で、ほとんどのオーディオインターフェースに直結可能。
- 音質傾向はどちらも中低域に厚みがあり、耳に優しい中高域が特徴。
- 距離の目安はSM7Bが5〜10cm、SM7dBが10〜15cmとやや異なる。
- 配信・宅録ではセッティングが簡単で機材が少なく済むSM7dBが有利。
- 音楽制作や近接効果を活かしたボーカル録音ではSM7Bが好まれる傾向。
- 屋外や現場収録では、軽量機材構成が可能なSM7dBが便利。
- 偽物・並行輸入品には注意し、正規代理店経由での購入が安全。
- 購入時は用途・環境・機材構成を総合的に考えて選択するのがポイント。
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